2009年11月15日日曜日
文化祭2009 備中神楽で岡崎亮 熱演 091104
ライフタウンまびの文化祭が今年も開かれた。
2009/11/3から11/9まで、4階フロアーで利用者の作品を展示。同時に、メインイベントとして、昨年に続き備中神楽を上演。また、島あきおさんの歌謡ショーも開催した。
11月4日。備中神楽は利用者に大変な人気で、満員となった。
職員の岡崎亮が、小学校の頃から教わっていた備中平川社の皆さんと出演。
神社で上演すると5時間以上かかるものを、名場面を選んで、2時間に縮めていただいた。
今年は、岡崎亮は「国ゆずり」のなかで鬼に扮して出演。鬼が退治される場面では、利用者から「ガンバレ! 負けるな!」と大きな声援が飛んだ。
2009年11月8日日曜日
認知症介護実践研修について 昨年度の修了者の声
■写真は、2009年10月21日 認知症介護実践者研修の様子 きらめきプラザにて
ライフタウンまびでは、岡山県の認知症介護実践研修に計画的に職員を受講させている。二段階の研修があり、4日間コースの実践者研修を修了して1年後に、実践リーダー研修を受講する。すでに、リーダー研修修了者は3名。今年、動画で登場する石井規正が四人目として受講することが決まっている。
管理者の大熊正喜は、岡山県の認知症介護のレベルアップを図る「指導者」養成研修を2005年に仙台センターにて修了し、実践者研修の企画運営や講師のひとりとして研修事業に関わっている。今年度から、実践者研修4日間コースの初日に、昨年度このコースを修了した先輩とその施設の責任者がペアで登場して、実践報告をするコーナーを設けた。今回、10月20日から始まる4日間コースで、急遽、ライフタウンまびから報告してほしいという依頼が来た。
石井は当日、九州の病院視察で講師として出られないため、管理者の大熊が動画での出演を計画した。2009年10月13日火曜日、デジカメの動画モードで突撃インタビューしたものなどを、14分程度に編集した。
報告のポイントは、実践者研修を修了したものが、研修で学んだことをきっかけに、現場でどう変わったか、周りを巻き込みながらどう現場の認知症介護の質の向上に貢献していったかということだ。
この動画を、10月20日、『研修の目標と修了者の役割』という冒頭の科目の中で講師の大熊が解説しながら上映したが、以下のような感想がアンケートに寄せられた。
●石井さんについて、様々な人の声に、チームの中で認めて理解してくれるスタッフに感心した。又、以前この研修を受けた先輩の耳元でささやくトイレ誘導のこと、バリデーションのこと、少し前に話があったことを思い出した。
●「妙な風貌のおじさんが出てきたよ!」と思えば老健の管理者をしているとの事。少しユーモアがあり、興味の沸きそうな人物像。研修というと一方的に話を聞くということが多いが、こういう形で演習をしながら、考えたり学ぶことで、頭の中に反芻するので覚えやすい内容になったと思う。
なお、石井規正は、11月24日からの今年度4回目の実践者研修4日間コースで、今度は大熊とともに「生出演」する予定になっている。
http://www.youtube.com/watch?v=GKvTj-X5rRM
http://www.youtube.com/watch?v=vExtzhjjROo
2009年10月4日日曜日
今年も岡山大学から看護学生が実習に来ました 09/8/3-5
今年も、8/3月曜から三日間、岡山大学から看護学生が基礎看護学Ⅰの実習に来ました。今年は、13名。
3日間の利用者とのコミュニケーションの体験を振り返って、3日目の午後に1時間程度の演習を行っている。
2009年度の新しい試みとして、3日間の自分の体験に「タイトル」をつけて、それをまずグループの中で共有し、最後に、フリップを貼り出して、全体でひとり3分間のプレゼンを行った。その模様を動画にまとめた。
■ 川上春香さんのプレゼンを中心に、10分間の動画に編集
■ 佐藤ゆかりさんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』
新たな発見=========================
佐藤 侑香里
1. 相手を理解する
多くの学生が言っていましたが、私もAさんのことを「この方はこういう方だ」と勝手に気めつけてしまっていました。でも、そのことに気づいたのはずっと後のことでした。人と接するとき、どうしても自分のものさしで物事を受け止めがちですが、そうではなく、「その人らしさ」があるんだということを強く感じました。また、人にはその人なりの表現方法があり、相手が示す態度をそのまま素直に受け入れることも大切ですが、時には違う角度から見ることも必要なんだということを学びました。
2. 自立心
自立しようとする力、または、自立できるように促すことは、その人に大きな生きる力を与えるということを今回実感しました。私は病気やケガをすると、すぐに人の手をかりてしまいます。でも、それは私が本来肉体的に健康であり回復できる病気・ケガだと分かっているからなんだと思いました。一生つきあっていかなければならない病気・ケガに直面した時、自立心が人に大きな力を与えると思いました。体が不自由でも努力してほとんどのことを1人でこなしていたり、介助が必要でも可能な限り自分で行っている利用者の方を見ていて、人の強さ、生きる力の強さに驚きました。自分の生活を振り返って恥しくなるほどでした。
3. コミュニケーションの多様性
今回の実習で、私自身の経験では、やはりコミュニケーションをとっていくには、相手に笑いかけ、触れ合っていくことが大切だということを実感しました。また、自分の立つ位置や目線を相手の方に合わせていくことが大切だということも実感しました。一方で、私とは正反対の方法でコミュニケーションをとっている学生も多くおり、その人に合った方法を探していくことが重要になってくるということを学びました。一緒に過ごす時間ではなく内容を重視して、単時間の関わり合いでコミュニケーションをとっている方や、反応はあまり返ってこないけれど笑顔でずっと話しかけている方もいました。また、あえて目を見ずに話をしたり視界に入らないことで、コミュニケーションを図っている方もいました。コミュニケーションの方法は一律ではなく、その人その人で臨機応変に対応していかなければならないということを学びました。3日間では、上手くコミュニケーションをとることができなかったと言う方もいましたが対象の方の性格(人見知りなど)も関係してくると思うので、アプローチの方法が間違っていたというわけではないと思いました。
4. ライフタウウンまび
一番印象に残っているのは、施設の方の元気の良さです。利用者の方に元気にあいさつをして、しっかり声かけを行っていて、いつも笑顔でいて見習うべき所がたくさんありました。利用者の方のためにいろんなゲームや歌を考えている所などもすごいと思いました。また、トイレの設計も入り口に近いほど重症の方が利用できるようになっていて、スタッフの方も施設自体も利用者の方のために様々な工夫をされているんだなと思いました。
5. まとめ
今回の実習でAさんの担当をさせていただいて、本当に多くのことを学ばせていただきました。とても貴重な体験をさせていただけたと思っています。
今回私の一番の収穫は、他の学生の体験を聞くことができたということです。多くの新しいことに気づくことができ、自分の体験を見直しより深く考えることができました。こんな素晴らしい機会を与えて下さった施設の方、利用者の方、先生方に対し感謝の気持ちでいっぱいです。本当に充実した3日間を過ごすことができました。この経験を生かせるように、もっともっと深めていきたいです。
=============================
■ 小林千紘さんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』
その人らしさの発見
小林 千紘
3日間の実習を終えて、私はいろいろなことを学びました。その中でも最も強く印象を受けたのは、コミュニケーションによって相手を理解する、つまりその人らしさを発見することです。今回の実習で私が担当した方は、E・Oさん(91歳男性)で、実習前にいただいたデータでは、話し好き、歌を歌うのが好きだと聞いていたので、コミュニケーションをとることに関しては苦労しないのだろうと思っていました。しかし実際に対面してみると、最初は私が話しかけても返事が返ってこなかったり、目を見てもらえませんでした。難聴者であることに気づいていなかったので、その時はとても不安になりました。耳の近くでゆっくり話すようにすると、だんだん会話が成り立つようになりました。コミュニケーションのとり方にも、相手によって方法を変えていく必要があると感じました。手をもって目を見ながら話しかけると自分からいろいろなことを話してもらえました。最終的には体操やレクリエーションにも参加されるようになりました。この時も口で「~しませんか」「~しましょう」とE・Oさんに言うだけでなく、自分でも動き、E・Oさんの手をとって一緒にすると参加してもらえたので、関わり方で大きく変わるのかなと感じました。
3日間かけて、データだけでは分からなかった「その人らしさ」というものに少しは気がつけたと思いました。どうやって相手に関わっていくかを考えるためにも相手がどんな人か知ることは大切です。その人らしさを見つけるための手段としてコミュニケーションがあるが、どうやってコミュニケーションをとっていくか工夫する必要があることを知りました。例えば手に触れながら話す、目を見て話す、難聴者の場合は、ゆっくり耳元で話すなどです。私がE・Oさんは本当はこういう人なんだと分かってからはとても接しやすかったし、E・Oさんも私に対して興味を持ってくれていたようで嬉しかったです。
ライフタウンまびでは入所者・通所者の方がそれぞれその人らしさを発揮して生き生きと生活されていてとても印象的でした。設備もとても整っていて、トイレの配列の工夫や入り口のドアの開閉が出口の側からは出来なくなっていたり車のドアも内側から開かなかったり安全に対する配慮が充実していると思いました。換気も十分に行われていていつも空気がきれいになるようにされていたので、臭いも全く気にならなかったです。利用者の方が生き生きとされていたのは、この設備の工夫も大きく影響していると思いました。もう一つ印象に残っていることは、通所者の方の送迎に付き添った時のことです。自分の家が近づくとそわそわしたり、家に着くと本当に笑顔になっておられました。私が乗せていただいた車では、ほとんどの方が家族に出迎えられていました。家に帰る、家族と過ごすことが通所者だけでなく利用者の方全てにとって大きな意味をもつのだと実感しました。
この3日間を通して、今までは授業で習ってきたことが実際の現場ではどうなっているのか再確認し、新たな発見がたくさんありました。先生や職員の方の対応を見て私にはまだ足りないところがたくさんあることも感じました。今回の実習で学んだことはたくさんあるけれど、その中でもその人らしさを発見することの大切さ、そこに至るまでの過程(コミュニケーションのとり方)について主に考えました。
3日間で学んだことを生かして、これからの授業や実習に取り組んでいきたいです。
■ 宮田華織さんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』
写真は三日目の振り返りのグループワークの様子。
指導教官の池田敏子先生が覗き込んでおられる。
宮田さんは左から二人目
===============================================
生きる力・生きようとする力
宮田 華織
この3日間で、私が学んだこと・感じとったことは「生きる力・生きようとする力」だった。私の受け持ちのTさんは、すごく気が強く、とてもマイペースな性格で、いつ気が変わって怒り出すかわからない人だった。初日には、視界に入る私をあしらい、手を握ろうとする私の手を払いのけた。あと2か月で100歳になるおばあちゃんだとは思えない反射力と強い力だった。その一方でお気に入りの場所に向かうときは、気の趣くまま、“自分の流れ”のなかで車イスを操作していた。私は、受け持ちのTさんと言葉やスキンシップによるコミュニケーションはほとんどとれなかったが、この3日間のTさんの行動や後ろ姿から、Tさんの「生きる力・生きようとする力」を強く感じとることができた。手術後の発声練習としてカラオケをする人、車イスを使わずに歩行訓練をがんばる人、入院していて3か月ぶりのお風呂となるが「きれいになりたい」とおっしゃって入浴介助を頼む人、排泄時、羞恥心からズボンで隠そうとする人・・・。自分の受け持ちの方からだけでなく、まびに入所されている人、通所されている人すべての人から「生きる力・生きようとする力」を強く感じた。不自由になった手足を前のように少しでも自由に動かしたい、もっと健康にこれから先を生きたいと思う高齢者の気持ちがとても伝わってきた。
この3日間、“拒絶”されたときのコミュニケーションのとり方にすごく悩み苦しみ大変だったが、ないたり笑ったり発言したりと、人というのは“感情”や“意志”をもつ生き物なんだと改めて感じた。こういった“感情”や“意志”は「生きようとする力」がなければ存在しない。「生きる力・生きようとする力」があるからこそ、しゃべれなくても何かを必死で訴えようとしたり、障害をうまくカバーして日常生活を送っていこうとしていると思う。私たち10代・20代よりもはるかに体力やADLの低下が見られる方もいらっしゃるのに、私はそんな方たちから「生きる力・生きようとする力」を学んだ。“生きる”ことへの執着心というべきか、“生きる”ことの大切さを考え直させられた3日間だった。
3日間の利用者とのコミュニケーションの体験を振り返って、3日目の午後に1時間程度の演習を行っている。
2009年度の新しい試みとして、3日間の自分の体験に「タイトル」をつけて、それをまずグループの中で共有し、最後に、フリップを貼り出して、全体でひとり3分間のプレゼンを行った。その模様を動画にまとめた。
■ 川上春香さんのプレゼンを中心に、10分間の動画に編集
■ 佐藤ゆかりさんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』
新たな発見=========================
佐藤 侑香里
1. 相手を理解する
多くの学生が言っていましたが、私もAさんのことを「この方はこういう方だ」と勝手に気めつけてしまっていました。でも、そのことに気づいたのはずっと後のことでした。人と接するとき、どうしても自分のものさしで物事を受け止めがちですが、そうではなく、「その人らしさ」があるんだということを強く感じました。また、人にはその人なりの表現方法があり、相手が示す態度をそのまま素直に受け入れることも大切ですが、時には違う角度から見ることも必要なんだということを学びました。
2. 自立心
自立しようとする力、または、自立できるように促すことは、その人に大きな生きる力を与えるということを今回実感しました。私は病気やケガをすると、すぐに人の手をかりてしまいます。でも、それは私が本来肉体的に健康であり回復できる病気・ケガだと分かっているからなんだと思いました。一生つきあっていかなければならない病気・ケガに直面した時、自立心が人に大きな力を与えると思いました。体が不自由でも努力してほとんどのことを1人でこなしていたり、介助が必要でも可能な限り自分で行っている利用者の方を見ていて、人の強さ、生きる力の強さに驚きました。自分の生活を振り返って恥しくなるほどでした。
3. コミュニケーションの多様性
今回の実習で、私自身の経験では、やはりコミュニケーションをとっていくには、相手に笑いかけ、触れ合っていくことが大切だということを実感しました。また、自分の立つ位置や目線を相手の方に合わせていくことが大切だということも実感しました。一方で、私とは正反対の方法でコミュニケーションをとっている学生も多くおり、その人に合った方法を探していくことが重要になってくるということを学びました。一緒に過ごす時間ではなく内容を重視して、単時間の関わり合いでコミュニケーションをとっている方や、反応はあまり返ってこないけれど笑顔でずっと話しかけている方もいました。また、あえて目を見ずに話をしたり視界に入らないことで、コミュニケーションを図っている方もいました。コミュニケーションの方法は一律ではなく、その人その人で臨機応変に対応していかなければならないということを学びました。3日間では、上手くコミュニケーションをとることができなかったと言う方もいましたが対象の方の性格(人見知りなど)も関係してくると思うので、アプローチの方法が間違っていたというわけではないと思いました。
4. ライフタウウンまび
一番印象に残っているのは、施設の方の元気の良さです。利用者の方に元気にあいさつをして、しっかり声かけを行っていて、いつも笑顔でいて見習うべき所がたくさんありました。利用者の方のためにいろんなゲームや歌を考えている所などもすごいと思いました。また、トイレの設計も入り口に近いほど重症の方が利用できるようになっていて、スタッフの方も施設自体も利用者の方のために様々な工夫をされているんだなと思いました。
5. まとめ
今回の実習でAさんの担当をさせていただいて、本当に多くのことを学ばせていただきました。とても貴重な体験をさせていただけたと思っています。
今回私の一番の収穫は、他の学生の体験を聞くことができたということです。多くの新しいことに気づくことができ、自分の体験を見直しより深く考えることができました。こんな素晴らしい機会を与えて下さった施設の方、利用者の方、先生方に対し感謝の気持ちでいっぱいです。本当に充実した3日間を過ごすことができました。この経験を生かせるように、もっともっと深めていきたいです。
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■ 小林千紘さんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』
その人らしさの発見
小林 千紘
3日間の実習を終えて、私はいろいろなことを学びました。その中でも最も強く印象を受けたのは、コミュニケーションによって相手を理解する、つまりその人らしさを発見することです。今回の実習で私が担当した方は、E・Oさん(91歳男性)で、実習前にいただいたデータでは、話し好き、歌を歌うのが好きだと聞いていたので、コミュニケーションをとることに関しては苦労しないのだろうと思っていました。しかし実際に対面してみると、最初は私が話しかけても返事が返ってこなかったり、目を見てもらえませんでした。難聴者であることに気づいていなかったので、その時はとても不安になりました。耳の近くでゆっくり話すようにすると、だんだん会話が成り立つようになりました。コミュニケーションのとり方にも、相手によって方法を変えていく必要があると感じました。手をもって目を見ながら話しかけると自分からいろいろなことを話してもらえました。最終的には体操やレクリエーションにも参加されるようになりました。この時も口で「~しませんか」「~しましょう」とE・Oさんに言うだけでなく、自分でも動き、E・Oさんの手をとって一緒にすると参加してもらえたので、関わり方で大きく変わるのかなと感じました。
3日間かけて、データだけでは分からなかった「その人らしさ」というものに少しは気がつけたと思いました。どうやって相手に関わっていくかを考えるためにも相手がどんな人か知ることは大切です。その人らしさを見つけるための手段としてコミュニケーションがあるが、どうやってコミュニケーションをとっていくか工夫する必要があることを知りました。例えば手に触れながら話す、目を見て話す、難聴者の場合は、ゆっくり耳元で話すなどです。私がE・Oさんは本当はこういう人なんだと分かってからはとても接しやすかったし、E・Oさんも私に対して興味を持ってくれていたようで嬉しかったです。
ライフタウンまびでは入所者・通所者の方がそれぞれその人らしさを発揮して生き生きと生活されていてとても印象的でした。設備もとても整っていて、トイレの配列の工夫や入り口のドアの開閉が出口の側からは出来なくなっていたり車のドアも内側から開かなかったり安全に対する配慮が充実していると思いました。換気も十分に行われていていつも空気がきれいになるようにされていたので、臭いも全く気にならなかったです。利用者の方が生き生きとされていたのは、この設備の工夫も大きく影響していると思いました。もう一つ印象に残っていることは、通所者の方の送迎に付き添った時のことです。自分の家が近づくとそわそわしたり、家に着くと本当に笑顔になっておられました。私が乗せていただいた車では、ほとんどの方が家族に出迎えられていました。家に帰る、家族と過ごすことが通所者だけでなく利用者の方全てにとって大きな意味をもつのだと実感しました。
この3日間を通して、今までは授業で習ってきたことが実際の現場ではどうなっているのか再確認し、新たな発見がたくさんありました。先生や職員の方の対応を見て私にはまだ足りないところがたくさんあることも感じました。今回の実習で学んだことはたくさんあるけれど、その中でもその人らしさを発見することの大切さ、そこに至るまでの過程(コミュニケーションのとり方)について主に考えました。
3日間で学んだことを生かして、これからの授業や実習に取り組んでいきたいです。
■ 宮田華織さんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』
写真は三日目の振り返りのグループワークの様子。
指導教官の池田敏子先生が覗き込んでおられる。
宮田さんは左から二人目
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生きる力・生きようとする力
宮田 華織
この3日間で、私が学んだこと・感じとったことは「生きる力・生きようとする力」だった。私の受け持ちのTさんは、すごく気が強く、とてもマイペースな性格で、いつ気が変わって怒り出すかわからない人だった。初日には、視界に入る私をあしらい、手を握ろうとする私の手を払いのけた。あと2か月で100歳になるおばあちゃんだとは思えない反射力と強い力だった。その一方でお気に入りの場所に向かうときは、気の趣くまま、“自分の流れ”のなかで車イスを操作していた。私は、受け持ちのTさんと言葉やスキンシップによるコミュニケーションはほとんどとれなかったが、この3日間のTさんの行動や後ろ姿から、Tさんの「生きる力・生きようとする力」を強く感じとることができた。手術後の発声練習としてカラオケをする人、車イスを使わずに歩行訓練をがんばる人、入院していて3か月ぶりのお風呂となるが「きれいになりたい」とおっしゃって入浴介助を頼む人、排泄時、羞恥心からズボンで隠そうとする人・・・。自分の受け持ちの方からだけでなく、まびに入所されている人、通所されている人すべての人から「生きる力・生きようとする力」を強く感じた。不自由になった手足を前のように少しでも自由に動かしたい、もっと健康にこれから先を生きたいと思う高齢者の気持ちがとても伝わってきた。
この3日間、“拒絶”されたときのコミュニケーションのとり方にすごく悩み苦しみ大変だったが、ないたり笑ったり発言したりと、人というのは“感情”や“意志”をもつ生き物なんだと改めて感じた。こういった“感情”や“意志”は「生きようとする力」がなければ存在しない。「生きる力・生きようとする力」があるからこそ、しゃべれなくても何かを必死で訴えようとしたり、障害をうまくカバーして日常生活を送っていこうとしていると思う。私たち10代・20代よりもはるかに体力やADLの低下が見られる方もいらっしゃるのに、私はそんな方たちから「生きる力・生きようとする力」を学んだ。“生きる”ことへの執着心というべきか、“生きる”ことの大切さを考え直させられた3日間だった。
2009年9月20日日曜日
2009年 ふれあい夏祭り を振返る 09/8/29
ライフタウンまびの前の駅前広場で行われる恒例のふれあい夏祭り。
2009年の今年は8月 29日 土曜日 にひらかれました。
地元の箭田小学校区の住民団体である箭田地区町づくり推進協議会とライフタウンまびが ジョイントで、1999年にスタートし、今年は11回目になります。
ライフタウンまびの通所・入所の利用者も、ボランティアや職員に付き添ってもらって、 車椅子でも参加できるバリアフリーの夏祭りです。
オープニングの町づくり宣言はライフタウンまびの利用者と箭田小学校の六年生がペアで 行っています。
竹の町 真備 ふれあいの里 箭田
大人も 子供も
みんな仲良く 町づくり
今年の利用者は、昨年9月に九州からまびの娘さんの近くの私どもの施設へ越してきた野崎敏子さん。
練習のかいあって、うまくいきました。
利用者も職員もステージに登場します。
通所利用者のおふたりが今年もカラオケを披露。
川中勇美さん。書道展などで何度も動画で登場していますが、去年に引き続き、夏祭りの舞台でも、カラオケで「娘よ」を歌いました。お嫁にやった一人娘を想い涙ぐむ場面も・・・・。今年は、本番前後のインタビューも収録しています。
1730の町づくり宣言に始まり、2030の花火に終わる3時間。様々な出会いやふれあい、ひと夏の思い出を残して、終了しました。夜は足下が悪く祭りにも出られなくなって久しい高齢者の方々にも、記憶障害のある認知症の方々にも、昔いった事のある祭りの記憶と重なりながら、楽しかった夏の夜の記憶として焼き付いていったのではないかと思います。
今年も、さまざまな利用者や職員の様子を動画で記録し、10分間にまとめてみました。
2009年の今年は8月 29日 土曜日 にひらかれました。
地元の箭田小学校区の住民団体である箭田地区町づくり推進協議会とライフタウンまびが ジョイントで、1999年にスタートし、今年は11回目になります。
ライフタウンまびの通所・入所の利用者も、ボランティアや職員に付き添ってもらって、 車椅子でも参加できるバリアフリーの夏祭りです。
オープニングの町づくり宣言はライフタウンまびの利用者と箭田小学校の六年生がペアで 行っています。
竹の町 真備 ふれあいの里 箭田
大人も 子供も
みんな仲良く 町づくり
今年の利用者は、昨年9月に九州からまびの娘さんの近くの私どもの施設へ越してきた野崎敏子さん。
練習のかいあって、うまくいきました。
利用者も職員もステージに登場します。
通所利用者のおふたりが今年もカラオケを披露。
川中勇美さん。書道展などで何度も動画で登場していますが、去年に引き続き、夏祭りの舞台でも、カラオケで「娘よ」を歌いました。お嫁にやった一人娘を想い涙ぐむ場面も・・・・。今年は、本番前後のインタビューも収録しています。
1730の町づくり宣言に始まり、2030の花火に終わる3時間。様々な出会いやふれあい、ひと夏の思い出を残して、終了しました。夜は足下が悪く祭りにも出られなくなって久しい高齢者の方々にも、記憶障害のある認知症の方々にも、昔いった事のある祭りの記憶と重なりながら、楽しかった夏の夜の記憶として焼き付いていったのではないかと思います。
今年も、さまざまな利用者や職員の様子を動画で記録し、10分間にまとめてみました。
2009年9月6日日曜日
倉敷・天領夏祭り OH代官ばやしコンテストに参加 090725
2009年8月8日土曜日
夜間入浴 全国老健施設2009年新潟大会 発表その2
2009年8月2日日曜日
活かせ通所リハビリ!なくせ訓練偏重! 全国老健大会2008年京都 発表
~目標指向型ケアマネジメントで生活に良循環を!~
近藤明良・田淵紳也
3年後には介護療養型の廃止が決まっており、老健の存続にかけても危機感を持たなければならない時代となりました。背景には、役割に対し「期待した効果が得られなかった」事も一因とされています。療養型の二の舞を演じないためには、老健の理念と、役割を理解し、十分に発揮していく必要があります。
当施設では、家庭は生活の拠点であり、老健は第二の生活の場である。地域との関わり合いの中で往ったり来たりの利用を繰り返し、住み慣れた地域・家庭で老いを生きることを支援していく、と言う理念のもと通所リハビリを中軸に入所・短期入所・居宅介護・包括支援センターとともに「入所と在宅の壁を作らない」サービスを展開しております。
私共はこれを「バザール・ケア」と呼んでおりますが、施設自体が地域社会の縮図のようになっており、大規模多様な関係性の中で利用者の自己決定で一日を過ごすことにより “関係と生活” を見直すきっかけをつかめるよう支援するという「生活リハビリ」の場となっております。
もちろん、療法士からの個別訓練・評価などが受けられる事も重要な役割の一つとなりますが、個別訓練を受けることのみがリハビリであると思い込まれている家族・利用者も多いようです。また、私を始め通所リハビリを十分に理解できていないケアマネが、十分な説明による理解も得られないままに、家族からの要望だけで、安易に通所リハビリが導入されてしまうというケースも少なくないようです。このため、中心に考えなければならないはずの「利用者自身」がカヤの外になってしまい、目標も持てないままに利用開始となり不満を抱かれるという悪循環が起きています。
81歳女性の西さんもその一人です。西さんは脳出血後遺症による右片麻痺が残り要介護3の認定を受けました。退院後すぐに週3回の通リハ・1回のデイサービスを開始されています。サービスの効果があったようで、3ヵ月後の更新認定では要支援となられました。
通リハの担当療法士からは現在の機能を低下させないためには、通リハの利用を中断すべきではないとの意見がありました。しかし、デイサービス事業所との関係もあったため、家族より通リハの利用終了を希望されました。通リハの利用がなくなり半年が経過した次の更新時には歩行の持久性が低下し実用歩行でのレベル低下あり、要介護1の認定となりました。このため居宅を再契約されるとともに通リハを再開し、家人希望にて短期集中リハを利用されることとなりました。
西さんはもともと、障害を負われたことに気落ちされており、生活に対する意欲低下が見られていましたが、退院後、療法士からの訓練も継続して行なわれていたことに伴い、広いバザールの施設内を過ごすことでも適度な活動量が得られていたようです。また、顔なじみの利用者もおり、気の合う利用者と一緒に行う手芸活動などを通じて、心身ともに活発な日常生活を得る事ができていたようです。
しかし、認定更新による制度上の制限から、本人の意向が反映されないまま、デイサービスのみの利用となり活動量が減少したとともに、なじみの利用者・職員との関係も打ち切られてしまいました。
その結果半年後の更新認定では、心身機能の低下あり要介護1の認定を受けました。通リハを再開され、短期集中リハビリも利用されることとなりましたが、利用中断していた間の環境変化が「障害を負った自分」のイメージを更に悪化させていたようで、リハビリ中涙を流されることも見られるようになりました。
短期集中加算も「積極的なリハビリにより身体機能を向上させてほしい。」との家族・ケアマネなどからの要望であり、本人の意向は反映されていませんでした。
半年後の担当者会議では、「現在、持久力的にはやや改善しているが、依存的になられている。利用中は仲の良い利用者とコミュニケーションを楽しんだり、手芸活動も継続されているが抑うつ的な面も見られるため機能訓練は無理強いせず、本人の意向を尊重し、楽しみを増やせるよう支援する。」ということになり、短期集中リハビリも中止されました。
その後、西さんは環境を変えることなく週3回の通リハ・1回のデイサービスにて休むことなく順調に利用できており、まずまず満足の行く生活が送れているようです。
考察としまして、退院後の通リハ利用により一度は心身機能が向上しましたが、認定更新の際、西さんの意向が把握できておらず、家族の意向のみを尊重してしまい、西さんの意図しない環境変化を招いた結果、「障害を負った自分」のイメージを悪化させ生活の悪循環を招いてしまっていたようです。
今後このような失敗を防止し、通リハが生活に活かされるためには、検討段階でケアマネからも十分な説明にて理解が得られるよう知識を深めておく事も必要となりますが、まず、利用者とのコミュニケーションを図る中で、相互信頼関係を構築していくことが重要となります。
そこでケアマネが把握した「望む暮らし」を担当者会議などの場で専門的見地から意見を出し合うことによりニーズを導き出し、共通の目標に向かうための方法を明確にしていく。これを基に段階的な支援を繰り返すことによって一つ一つ達成感が得られ、目標である「望む生活」に向けてモチベーションを高めていくという「目標指向型」のプロセスを取り入れることで、訓練ばかりに囚われることなく、「何のために支援を受けるのか?」という目標を明確にできることを西さんのケースで気づかせてもらいました。
このプロセスの活用により、家族にも納得がいく説明の上で利用者の望む生活を支援していけるよう努力していきたいと思っております。
近藤明良・田淵紳也
3年後には介護療養型の廃止が決まっており、老健の存続にかけても危機感を持たなければならない時代となりました。背景には、役割に対し「期待した効果が得られなかった」事も一因とされています。療養型の二の舞を演じないためには、老健の理念と、役割を理解し、十分に発揮していく必要があります。
当施設では、家庭は生活の拠点であり、老健は第二の生活の場である。地域との関わり合いの中で往ったり来たりの利用を繰り返し、住み慣れた地域・家庭で老いを生きることを支援していく、と言う理念のもと通所リハビリを中軸に入所・短期入所・居宅介護・包括支援センターとともに「入所と在宅の壁を作らない」サービスを展開しております。
私共はこれを「バザール・ケア」と呼んでおりますが、施設自体が地域社会の縮図のようになっており、大規模多様な関係性の中で利用者の自己決定で一日を過ごすことにより “関係と生活” を見直すきっかけをつかめるよう支援するという「生活リハビリ」の場となっております。
もちろん、療法士からの個別訓練・評価などが受けられる事も重要な役割の一つとなりますが、個別訓練を受けることのみがリハビリであると思い込まれている家族・利用者も多いようです。また、私を始め通所リハビリを十分に理解できていないケアマネが、十分な説明による理解も得られないままに、家族からの要望だけで、安易に通所リハビリが導入されてしまうというケースも少なくないようです。このため、中心に考えなければならないはずの「利用者自身」がカヤの外になってしまい、目標も持てないままに利用開始となり不満を抱かれるという悪循環が起きています。
81歳女性の西さんもその一人です。西さんは脳出血後遺症による右片麻痺が残り要介護3の認定を受けました。退院後すぐに週3回の通リハ・1回のデイサービスを開始されています。サービスの効果があったようで、3ヵ月後の更新認定では要支援となられました。
通リハの担当療法士からは現在の機能を低下させないためには、通リハの利用を中断すべきではないとの意見がありました。しかし、デイサービス事業所との関係もあったため、家族より通リハの利用終了を希望されました。通リハの利用がなくなり半年が経過した次の更新時には歩行の持久性が低下し実用歩行でのレベル低下あり、要介護1の認定となりました。このため居宅を再契約されるとともに通リハを再開し、家人希望にて短期集中リハを利用されることとなりました。
西さんはもともと、障害を負われたことに気落ちされており、生活に対する意欲低下が見られていましたが、退院後、療法士からの訓練も継続して行なわれていたことに伴い、広いバザールの施設内を過ごすことでも適度な活動量が得られていたようです。また、顔なじみの利用者もおり、気の合う利用者と一緒に行う手芸活動などを通じて、心身ともに活発な日常生活を得る事ができていたようです。
しかし、認定更新による制度上の制限から、本人の意向が反映されないまま、デイサービスのみの利用となり活動量が減少したとともに、なじみの利用者・職員との関係も打ち切られてしまいました。
その結果半年後の更新認定では、心身機能の低下あり要介護1の認定を受けました。通リハを再開され、短期集中リハビリも利用されることとなりましたが、利用中断していた間の環境変化が「障害を負った自分」のイメージを更に悪化させていたようで、リハビリ中涙を流されることも見られるようになりました。
短期集中加算も「積極的なリハビリにより身体機能を向上させてほしい。」との家族・ケアマネなどからの要望であり、本人の意向は反映されていませんでした。
半年後の担当者会議では、「現在、持久力的にはやや改善しているが、依存的になられている。利用中は仲の良い利用者とコミュニケーションを楽しんだり、手芸活動も継続されているが抑うつ的な面も見られるため機能訓練は無理強いせず、本人の意向を尊重し、楽しみを増やせるよう支援する。」ということになり、短期集中リハビリも中止されました。
その後、西さんは環境を変えることなく週3回の通リハ・1回のデイサービスにて休むことなく順調に利用できており、まずまず満足の行く生活が送れているようです。
考察としまして、退院後の通リハ利用により一度は心身機能が向上しましたが、認定更新の際、西さんの意向が把握できておらず、家族の意向のみを尊重してしまい、西さんの意図しない環境変化を招いた結果、「障害を負った自分」のイメージを悪化させ生活の悪循環を招いてしまっていたようです。
今後このような失敗を防止し、通リハが生活に活かされるためには、検討段階でケアマネからも十分な説明にて理解が得られるよう知識を深めておく事も必要となりますが、まず、利用者とのコミュニケーションを図る中で、相互信頼関係を構築していくことが重要となります。
そこでケアマネが把握した「望む暮らし」を担当者会議などの場で専門的見地から意見を出し合うことによりニーズを導き出し、共通の目標に向かうための方法を明確にしていく。これを基に段階的な支援を繰り返すことによって一つ一つ達成感が得られ、目標である「望む生活」に向けてモチベーションを高めていくという「目標指向型」のプロセスを取り入れることで、訓練ばかりに囚われることなく、「何のために支援を受けるのか?」という目標を明確にできることを西さんのケースで気づかせてもらいました。
このプロセスの活用により、家族にも納得がいく説明の上で利用者の望む生活を支援していけるよう努力していきたいと思っております。
2009年8月1日土曜日
バザールケアで通所とショートを併用 全国老健大会2007年名古屋発表
『バザール・ケア』で通所とショートを併用! ~大規模・多様な関係性の中で得られた安心感!~
近藤明良
当施設は、岡山県の南西部、倉敷市真備町というところに位置し、施設周辺は自然に恵まれた環境であり、交通の便も良く誰からでも目に付く場所に立地しております。
私どもの施設では『バザール・ケア』という基本方針の下に運営が行われておりますが、まずは、施設のフロア構成・コンセプトから『バザール・ケア』について簡単に説明させていただきます。
当施設は2階3階が入所フロアで全室個室となっているのに対し、4階5階は入所通所共有のフロアとなっており、日中は主に4階で入混じって過ごし、お風呂も5階にて一緒に入浴されています。また、1階には事務所・居宅部門とともに、利用者はもちろん職員・外部の方も自由に利用できる喫茶店があり、入所・短期入所・通所といったサービスごとの壁をなくし、地域社会に開かれた大集団を作り出しています。
この『バザール・ケア』の長所を発揮するため、職員チームが個々の利用者に合わせて計画した関わりにより、通いなれた施設にいざという時には「お泊り」し最終的には長期入所になっても一度形成された施設や職員、他の利用者との「なじみの関係」は維持できる。という運営方法を展開しております。
では、この『バザール・ケア』がうまく生かされていると思われる“小田さん”のケースを紹介させていただきます。
小田さんは高齢者夫婦世帯の方です。難聴や視力障害などによりコミュニケーションに障害を来たし、次第に不活発な日常を送るようになりました。この不活発な状態が日常生活自体を不安なものとし、更なる心身機能の低下・行動障害をももたらしました。また、主介護者である妻も介護に自身をなくしかけている状態でありました。そんな小田さんに普通の生活を取り戻していただくため“通い”から「バザール」を利用していただくようになりました。
入浴好きであり、お風呂に入れるということでスムーズな導入が出来ましたが、週1回の通所では不安を取り除くにはいたらず、1年後にはさらに機能低下が進行していました。昼夜逆転傾向にあり、危険な足取りで夜間外へ出て大声で喋るなどの周辺症状も出現していました。このため、泊まりのサービスも導入しましたが、日中はなじみの4階フロアで落ち着いて過ごされるものの、夜になると不穏になり廊下へ出て夜通し大声で喋る。それにより他利用者が寝られない。という対応困難な状態が続きました。
そんなある日のショートステイでの事、この日は朝迎えが行くと、本人・奥さんともに入所日であることを理解されておらず「拒否された」と連絡を受けたためケアマネである私が訪問しました。
ちょうど長男夫婦が送り出しに来られており、説得したが応じないとの事で途中私も話に入らせてもらいました。すると、定期訪問や通所でも顔を合わせていたためか私を覚えてくれており、私の声が低く聞き取りやすかった事も幸いしてか徐々に誘いに乗ってこられ、参加となりました。
初日は入所後より顔を合わせてなかったためか、夕食後入所棟より「落ち着かないので来てほしい」と連絡があり面会に行くと食堂に「近藤さんと話がしたかった!」と待っておられました。
そんな小田さんの話に耳を傾けていたところ、同じような理由でショート利用中の尾崎さんが話しに入ってこられ3人での対話が始まりました。話しに筋はないものの私を介して、途中戦争の話題で盛り上がる事もありました。しばらく話すと、納得されたようで勧めたお茶を飲まれ自室誘導により素直に就寝、朝まで良眠されています。
翌日は朝より、「近藤さんは?」と探されていたようですが日中は挨拶程度を交わしておき、就寝前に再度面会しています。コーヒーを飲みながらゆっくり話を聞くことにより落ち着かれたようで、この日も機嫌よく就寝し朝まで良眠されています。
最終日は、家族の迎えにて帰れる事を伝えると、嬉しそうにされ「また来ます!」と機嫌良く帰られています。
この2泊3日がきっかけとなり、現在では継続する『バザール・ケア』の中で、小田さん自らが戦友などなじみの関係を見つけて生き生きと過ごされています。
【考察】
小田さんはコミュニケーションが障害された事により不安な日常生活を送り、周辺症状まで引き起こしました。しかし、症状だけを捉え認知症の方だけを集めた専門棟に隔離されるのではなく、(規範を示してくれる)しっかりした利用者・共感できる利用者・イザと言う時に頼れる仲間(職員など)の存在する「バザール」の中で一人の利用者として、日中はなじみの4階フロア、夜間も顔見知りの利用者・職員の中で過ごし、入所・通所・地域社会との切れ目ない関係性の中で、この2泊3日の初日、「尾崎さんと戦争の話で盛り上がった」ということを“きっかけ”に小田さんらしさが発揮できたとともに、落ち着いた生活をも取り戻すことが出来たと思われます。
このように、一人のお年寄りを職員側の都合で選別しない「利用者と職員の開かれた多様な関係性=「バザール」の中の一人として対応を個別化し、その人らしさが発揮できるよう『信頼できる代理人』となり“バザールを「カスタマイズ」”したことによって、不安を解消する事ができたと思われます。
【課題】
ケアマネも、『信頼できる代理人』となれるよう『対話』を積み重ねていく中での気づきを「バザール・ケア」の中でも共有することにより「その人らしさ」を発揮できる環境を得ていただき、『頼れる仲間』として長期安定的な関係を築き継続したいと思います。
近藤明良
当施設は、岡山県の南西部、倉敷市真備町というところに位置し、施設周辺は自然に恵まれた環境であり、交通の便も良く誰からでも目に付く場所に立地しております。
私どもの施設では『バザール・ケア』という基本方針の下に運営が行われておりますが、まずは、施設のフロア構成・コンセプトから『バザール・ケア』について簡単に説明させていただきます。
当施設は2階3階が入所フロアで全室個室となっているのに対し、4階5階は入所通所共有のフロアとなっており、日中は主に4階で入混じって過ごし、お風呂も5階にて一緒に入浴されています。また、1階には事務所・居宅部門とともに、利用者はもちろん職員・外部の方も自由に利用できる喫茶店があり、入所・短期入所・通所といったサービスごとの壁をなくし、地域社会に開かれた大集団を作り出しています。
この『バザール・ケア』の長所を発揮するため、職員チームが個々の利用者に合わせて計画した関わりにより、通いなれた施設にいざという時には「お泊り」し最終的には長期入所になっても一度形成された施設や職員、他の利用者との「なじみの関係」は維持できる。という運営方法を展開しております。
では、この『バザール・ケア』がうまく生かされていると思われる“小田さん”のケースを紹介させていただきます。
小田さんは高齢者夫婦世帯の方です。難聴や視力障害などによりコミュニケーションに障害を来たし、次第に不活発な日常を送るようになりました。この不活発な状態が日常生活自体を不安なものとし、更なる心身機能の低下・行動障害をももたらしました。また、主介護者である妻も介護に自身をなくしかけている状態でありました。そんな小田さんに普通の生活を取り戻していただくため“通い”から「バザール」を利用していただくようになりました。
入浴好きであり、お風呂に入れるということでスムーズな導入が出来ましたが、週1回の通所では不安を取り除くにはいたらず、1年後にはさらに機能低下が進行していました。昼夜逆転傾向にあり、危険な足取りで夜間外へ出て大声で喋るなどの周辺症状も出現していました。このため、泊まりのサービスも導入しましたが、日中はなじみの4階フロアで落ち着いて過ごされるものの、夜になると不穏になり廊下へ出て夜通し大声で喋る。それにより他利用者が寝られない。という対応困難な状態が続きました。
そんなある日のショートステイでの事、この日は朝迎えが行くと、本人・奥さんともに入所日であることを理解されておらず「拒否された」と連絡を受けたためケアマネである私が訪問しました。
ちょうど長男夫婦が送り出しに来られており、説得したが応じないとの事で途中私も話に入らせてもらいました。すると、定期訪問や通所でも顔を合わせていたためか私を覚えてくれており、私の声が低く聞き取りやすかった事も幸いしてか徐々に誘いに乗ってこられ、参加となりました。
初日は入所後より顔を合わせてなかったためか、夕食後入所棟より「落ち着かないので来てほしい」と連絡があり面会に行くと食堂に「近藤さんと話がしたかった!」と待っておられました。
そんな小田さんの話に耳を傾けていたところ、同じような理由でショート利用中の尾崎さんが話しに入ってこられ3人での対話が始まりました。話しに筋はないものの私を介して、途中戦争の話題で盛り上がる事もありました。しばらく話すと、納得されたようで勧めたお茶を飲まれ自室誘導により素直に就寝、朝まで良眠されています。
翌日は朝より、「近藤さんは?」と探されていたようですが日中は挨拶程度を交わしておき、就寝前に再度面会しています。コーヒーを飲みながらゆっくり話を聞くことにより落ち着かれたようで、この日も機嫌よく就寝し朝まで良眠されています。
最終日は、家族の迎えにて帰れる事を伝えると、嬉しそうにされ「また来ます!」と機嫌良く帰られています。
この2泊3日がきっかけとなり、現在では継続する『バザール・ケア』の中で、小田さん自らが戦友などなじみの関係を見つけて生き生きと過ごされています。
【考察】
小田さんはコミュニケーションが障害された事により不安な日常生活を送り、周辺症状まで引き起こしました。しかし、症状だけを捉え認知症の方だけを集めた専門棟に隔離されるのではなく、(規範を示してくれる)しっかりした利用者・共感できる利用者・イザと言う時に頼れる仲間(職員など)の存在する「バザール」の中で一人の利用者として、日中はなじみの4階フロア、夜間も顔見知りの利用者・職員の中で過ごし、入所・通所・地域社会との切れ目ない関係性の中で、この2泊3日の初日、「尾崎さんと戦争の話で盛り上がった」ということを“きっかけ”に小田さんらしさが発揮できたとともに、落ち着いた生活をも取り戻すことが出来たと思われます。
このように、一人のお年寄りを職員側の都合で選別しない「利用者と職員の開かれた多様な関係性=「バザール」の中の一人として対応を個別化し、その人らしさが発揮できるよう『信頼できる代理人』となり“バザールを「カスタマイズ」”したことによって、不安を解消する事ができたと思われます。
【課題】
ケアマネも、『信頼できる代理人』となれるよう『対話』を積み重ねていく中での気づきを「バザール・ケア」の中でも共有することにより「その人らしさ」を発揮できる環境を得ていただき、『頼れる仲間』として長期安定的な関係を築き継続したいと思います。
Lawton感情評価スケールの活用 全国老健大会2005年横浜での発表
大熊明美
【はじめに】老人保健施設ライフタウンまび(以下当施設)の通所リハビリテーション(以下通所リハビリ)では、開所当初より認知症高齢者も積極的に受け入れてきたが、最近その重度化が目立ってきている。
重度認知症高齢者のケアでは認知機能やADLといった身体機能の変化は少ないものの、笑顔が出てきた、表情が豊かになった、その場に馴染んで落ち着きが出てきた等、感情面に変化が確認される場合がある。
しかしながら、当施設の通所リハビリにおいて感情面のアセスメントは統一されておらず、利用者の変化や反応を職員間で共有し、それを通所リハビリ計画に反映できていないのが現状である。
この為、重度認知症高齢者の感情面のアセスメント手法として、身体的サインから感情を分類している LawtonのPhiladelphia Geriatric Center Affect Rating Scale(以下情動スケール)を参考に取り入れ、アセスメントについて再考した。
今回、重度認知症で意思疎通が難しい寝たきり状態の一症例に用い、若干の考察を得たので報告する。
【感情面のアセスメント】Lawtonの情動スケールは通常、評価者が20分間の面接で対象者を観察し、評価項目に示されている感情の持続時間を評価するスケールであり、主観的QOLの評価手法の一つとして用いられる。
しかし、今回は主観的QOLの評価をするのではなく、表出している「身体的サイン(=徴候)」とそのサインを「楽しみ 怒り 不安/恐れ 抑うつ/悲哀 関心 満足」の6項目の感情に分類している点に注目し、重度認知症高齢者の感情面のアセスメントとして参考にした。
感情面のアセスメントは評価できない場合を9で表示し、評価項目に示されている感情の持続時間を1(=なし)から5(=5分以上)までの6段階の数字で表した。
また、場面が感情を表出する要因として重要であると考えた為、アセスメント場面を記載した。
【事例紹介】男性 年齢83歳 老人性痴呆 脳梗塞
平成8年脳梗塞・左片麻痺の診断で入院後、ADL自立し独歩にて在宅復帰。
平成14年2月頃から記憶障害が出現。
平成15年11月妻の死後、認知症状が進行し寝たきり状態となる。
平成17年2月当施設通所リハ開始。要介護度5 四肢拘縮、頚部・体幹の運動制限あり。リクライニング車椅子を使用、ADLは全介助。会話不成立で意思疎通困難な場合が多い。何らかの刺激がなければ傾眠に陥り易い。ClinicalDementiaRating CDR=3
事例のアセスメントは個別機能訓練を実施している40分間を評価場面とし、身体的サイン(=徴候)とその持続時間を観察、身体的サインが表出した訓練内容・訓練実施者の働きかけや刺激を評価用紙に記述した。
【アセスメントの結果】
「快」の感情 楽しみ・関心・満足について
楽しみ=2:車椅子座位訓練時コーヒーカップをテーブルにセッティングするとコーヒーカップを注視後、右手を伸ばしカップを持とうとする。
関心=3:近くを通った職員を目で追う。レクリェーションの音楽や職員・利用者の声がする方に顔を向ける。
満足=3:半臥位でリラクセーション時、緊張なく穏やかで目を閉じる。
「不快」の感情 怒り・不安/恐れ・抑うつ/悲哀について
怒り=3:下肢関節可動域訓練時 顔をしかめる・眉をひそめる・訓練士を叩こうとする。
不安/恐れ=2:座位バランス訓練時 瞬きが増え手を握りしめる。
抑うつ/悲哀=3:訓練経過30分後 突然「かえろー、かえろー、(通所介護施設名)へかえろー」と嘆くような発言。
楽しみ 不安/恐れの2項目については表出した身体的サインの持続時間が15秒以下と短い。怒り 抑うつ/悲哀 関心 満足の4項目では前記2項目に比べ、身体的サインの持続時間が長く出現回数も多かった。
事例は自身の感情を伝え難く、他者からもその気持を推し量りにくいと思われたが、アセスメントからは、楽しみ 関心 満足といった「快」の感情と 怒り 不安/恐れ 抑うつ/悲哀といった「不快」の感情が確認できた。
【考察】
本事例は、コーヒーの入ったカップを見せると見つめた後手を延ばし持とうとする動作が見られ、コーヒーを飲むことが楽しみ「快」の感情を表し、また関節可動域訓練に対し顔をしかめ眉をひそめるといった表情で、怒り「不快」の感情を表していた。今回試用した感情面のアセスメントでは表出した感情がどの働きかけや刺激に基づいているかを記述した為、「快」「不快」の感情が何に起因するか具体的になり、職員間での情報の共有をより容易にし、通所リハビリ計画に反映する上で参考になると考える。また、このようなアセスメントに基づき、より多く「快」感情を引き出す場面をつくり、働きかけや刺激を増やす一方、「不快」感情の要因を減らすことで、重度認知症高齢者の主観的QOL向上への手がかりになるのではないかと考える。
【はじめに】老人保健施設ライフタウンまび(以下当施設)の通所リハビリテーション(以下通所リハビリ)では、開所当初より認知症高齢者も積極的に受け入れてきたが、最近その重度化が目立ってきている。
重度認知症高齢者のケアでは認知機能やADLといった身体機能の変化は少ないものの、笑顔が出てきた、表情が豊かになった、その場に馴染んで落ち着きが出てきた等、感情面に変化が確認される場合がある。
しかしながら、当施設の通所リハビリにおいて感情面のアセスメントは統一されておらず、利用者の変化や反応を職員間で共有し、それを通所リハビリ計画に反映できていないのが現状である。
この為、重度認知症高齢者の感情面のアセスメント手法として、身体的サインから感情を分類している LawtonのPhiladelphia Geriatric Center Affect Rating Scale(以下情動スケール)を参考に取り入れ、アセスメントについて再考した。
今回、重度認知症で意思疎通が難しい寝たきり状態の一症例に用い、若干の考察を得たので報告する。
【感情面のアセスメント】Lawtonの情動スケールは通常、評価者が20分間の面接で対象者を観察し、評価項目に示されている感情の持続時間を評価するスケールであり、主観的QOLの評価手法の一つとして用いられる。
しかし、今回は主観的QOLの評価をするのではなく、表出している「身体的サイン(=徴候)」とそのサインを「楽しみ 怒り 不安/恐れ 抑うつ/悲哀 関心 満足」の6項目の感情に分類している点に注目し、重度認知症高齢者の感情面のアセスメントとして参考にした。
感情面のアセスメントは評価できない場合を9で表示し、評価項目に示されている感情の持続時間を1(=なし)から5(=5分以上)までの6段階の数字で表した。
また、場面が感情を表出する要因として重要であると考えた為、アセスメント場面を記載した。
【事例紹介】男性 年齢83歳 老人性痴呆 脳梗塞
平成8年脳梗塞・左片麻痺の診断で入院後、ADL自立し独歩にて在宅復帰。
平成14年2月頃から記憶障害が出現。
平成15年11月妻の死後、認知症状が進行し寝たきり状態となる。
平成17年2月当施設通所リハ開始。要介護度5 四肢拘縮、頚部・体幹の運動制限あり。リクライニング車椅子を使用、ADLは全介助。会話不成立で意思疎通困難な場合が多い。何らかの刺激がなければ傾眠に陥り易い。ClinicalDementiaRating CDR=3
事例のアセスメントは個別機能訓練を実施している40分間を評価場面とし、身体的サイン(=徴候)とその持続時間を観察、身体的サインが表出した訓練内容・訓練実施者の働きかけや刺激を評価用紙に記述した。
【アセスメントの結果】
「快」の感情 楽しみ・関心・満足について
楽しみ=2:車椅子座位訓練時コーヒーカップをテーブルにセッティングするとコーヒーカップを注視後、右手を伸ばしカップを持とうとする。
関心=3:近くを通った職員を目で追う。レクリェーションの音楽や職員・利用者の声がする方に顔を向ける。
満足=3:半臥位でリラクセーション時、緊張なく穏やかで目を閉じる。
「不快」の感情 怒り・不安/恐れ・抑うつ/悲哀について
怒り=3:下肢関節可動域訓練時 顔をしかめる・眉をひそめる・訓練士を叩こうとする。
不安/恐れ=2:座位バランス訓練時 瞬きが増え手を握りしめる。
抑うつ/悲哀=3:訓練経過30分後 突然「かえろー、かえろー、(通所介護施設名)へかえろー」と嘆くような発言。
楽しみ 不安/恐れの2項目については表出した身体的サインの持続時間が15秒以下と短い。怒り 抑うつ/悲哀 関心 満足の4項目では前記2項目に比べ、身体的サインの持続時間が長く出現回数も多かった。
事例は自身の感情を伝え難く、他者からもその気持を推し量りにくいと思われたが、アセスメントからは、楽しみ 関心 満足といった「快」の感情と 怒り 不安/恐れ 抑うつ/悲哀といった「不快」の感情が確認できた。
【考察】
本事例は、コーヒーの入ったカップを見せると見つめた後手を延ばし持とうとする動作が見られ、コーヒーを飲むことが楽しみ「快」の感情を表し、また関節可動域訓練に対し顔をしかめ眉をひそめるといった表情で、怒り「不快」の感情を表していた。今回試用した感情面のアセスメントでは表出した感情がどの働きかけや刺激に基づいているかを記述した為、「快」「不快」の感情が何に起因するか具体的になり、職員間での情報の共有をより容易にし、通所リハビリ計画に反映する上で参考になると考える。また、このようなアセスメントに基づき、より多く「快」感情を引き出す場面をつくり、働きかけや刺激を増やす一方、「不快」感情の要因を減らすことで、重度認知症高齢者の主観的QOL向上への手がかりになるのではないかと考える。
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