2009年10月4日日曜日

今年も岡山大学から看護学生が実習に来ました 09/8/3-5

今年も、8/3月曜から三日間、岡山大学から看護学生が基礎看護学Ⅰの実習に来ました。今年は、13名。
3日間の利用者とのコミュニケーションの体験を振り返って、3日目の午後に1時間程度の演習を行っている。
2009年度の新しい試みとして、3日間の自分の体験に「タイトル」をつけて、それをまずグループの中で共有し、最後に、フリップを貼り出して、全体でひとり3分間のプレゼンを行った。その模様を動画にまとめた。


■ 川上春香さんのプレゼンを中心に、10分間の動画に編集






■ 佐藤ゆかりさんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』




新たな発見=========================
                      佐藤 侑香里

1. 相手を理解する
多くの学生が言っていましたが、私もAさんのことを「この方はこういう方だ」と勝手に気めつけてしまっていました。でも、そのことに気づいたのはずっと後のことでした。人と接するとき、どうしても自分のものさしで物事を受け止めがちですが、そうではなく、「その人らしさ」があるんだということを強く感じました。また、人にはその人なりの表現方法があり、相手が示す態度をそのまま素直に受け入れることも大切ですが、時には違う角度から見ることも必要なんだということを学びました。
2. 自立心
自立しようとする力、または、自立できるように促すことは、その人に大きな生きる力を与えるということを今回実感しました。私は病気やケガをすると、すぐに人の手をかりてしまいます。でも、それは私が本来肉体的に健康であり回復できる病気・ケガだと分かっているからなんだと思いました。一生つきあっていかなければならない病気・ケガに直面した時、自立心が人に大きな力を与えると思いました。体が不自由でも努力してほとんどのことを1人でこなしていたり、介助が必要でも可能な限り自分で行っている利用者の方を見ていて、人の強さ、生きる力の強さに驚きました。自分の生活を振り返って恥しくなるほどでした。
3. コミュニケーションの多様性
今回の実習で、私自身の経験では、やはりコミュニケーションをとっていくには、相手に笑いかけ、触れ合っていくことが大切だということを実感しました。また、自分の立つ位置や目線を相手の方に合わせていくことが大切だということも実感しました。一方で、私とは正反対の方法でコミュニケーションをとっている学生も多くおり、その人に合った方法を探していくことが重要になってくるということを学びました。一緒に過ごす時間ではなく内容を重視して、単時間の関わり合いでコミュニケーションをとっている方や、反応はあまり返ってこないけれど笑顔でずっと話しかけている方もいました。また、あえて目を見ずに話をしたり視界に入らないことで、コミュニケーションを図っている方もいました。コミュニケーションの方法は一律ではなく、その人その人で臨機応変に対応していかなければならないということを学びました。3日間では、上手くコミュニケーションをとることができなかったと言う方もいましたが対象の方の性格(人見知りなど)も関係してくると思うので、アプローチの方法が間違っていたというわけではないと思いました。

4. ライフタウウンまび
一番印象に残っているのは、施設の方の元気の良さです。利用者の方に元気にあいさつをして、しっかり声かけを行っていて、いつも笑顔でいて見習うべき所がたくさんありました。利用者の方のためにいろんなゲームや歌を考えている所などもすごいと思いました。また、トイレの設計も入り口に近いほど重症の方が利用できるようになっていて、スタッフの方も施設自体も利用者の方のために様々な工夫をされているんだなと思いました。
5. まとめ
今回の実習でAさんの担当をさせていただいて、本当に多くのことを学ばせていただきました。とても貴重な体験をさせていただけたと思っています。
今回私の一番の収穫は、他の学生の体験を聞くことができたということです。多くの新しいことに気づくことができ、自分の体験を見直しより深く考えることができました。こんな素晴らしい機会を与えて下さった施設の方、利用者の方、先生方に対し感謝の気持ちでいっぱいです。本当に充実した3日間を過ごすことができました。この経験を生かせるように、もっともっと深めていきたいです。

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■ 小林千紘さんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』



その人らしさの発見                   
小林 千紘

3日間の実習を終えて、私はいろいろなことを学びました。その中でも最も強く印象を受けたのは、コミュニケーションによって相手を理解する、つまりその人らしさを発見することです。今回の実習で私が担当した方は、E・Oさん(91歳男性)で、実習前にいただいたデータでは、話し好き、歌を歌うのが好きだと聞いていたので、コミュニケーションをとることに関しては苦労しないのだろうと思っていました。しかし実際に対面してみると、最初は私が話しかけても返事が返ってこなかったり、目を見てもらえませんでした。難聴者であることに気づいていなかったので、その時はとても不安になりました。耳の近くでゆっくり話すようにすると、だんだん会話が成り立つようになりました。コミュニケーションのとり方にも、相手によって方法を変えていく必要があると感じました。手をもって目を見ながら話しかけると自分からいろいろなことを話してもらえました。最終的には体操やレクリエーションにも参加されるようになりました。この時も口で「~しませんか」「~しましょう」とE・Oさんに言うだけでなく、自分でも動き、E・Oさんの手をとって一緒にすると参加してもらえたので、関わり方で大きく変わるのかなと感じました。
3日間かけて、データだけでは分からなかった「その人らしさ」というものに少しは気がつけたと思いました。どうやって相手に関わっていくかを考えるためにも相手がどんな人か知ることは大切です。その人らしさを見つけるための手段としてコミュニケーションがあるが、どうやってコミュニケーションをとっていくか工夫する必要があることを知りました。例えば手に触れながら話す、目を見て話す、難聴者の場合は、ゆっくり耳元で話すなどです。私がE・Oさんは本当はこういう人なんだと分かってからはとても接しやすかったし、E・Oさんも私に対して興味を持ってくれていたようで嬉しかったです。
ライフタウンまびでは入所者・通所者の方がそれぞれその人らしさを発揮して生き生きと生活されていてとても印象的でした。設備もとても整っていて、トイレの配列の工夫や入り口のドアの開閉が出口の側からは出来なくなっていたり車のドアも内側から開かなかったり安全に対する配慮が充実していると思いました。換気も十分に行われていていつも空気がきれいになるようにされていたので、臭いも全く気にならなかったです。利用者の方が生き生きとされていたのは、この設備の工夫も大きく影響していると思いました。もう一つ印象に残っていることは、通所者の方の送迎に付き添った時のことです。自分の家が近づくとそわそわしたり、家に着くと本当に笑顔になっておられました。私が乗せていただいた車では、ほとんどの方が家族に出迎えられていました。家に帰る、家族と過ごすことが通所者だけでなく利用者の方全てにとって大きな意味をもつのだと実感しました。
この3日間を通して、今までは授業で習ってきたことが実際の現場ではどうなっているのか再確認し、新たな発見がたくさんありました。先生や職員の方の対応を見て私にはまだ足りないところがたくさんあることも感じました。今回の実習で学んだことはたくさんあるけれど、その中でもその人らしさを発見することの大切さ、そこに至るまでの過程(コミュニケーションのとり方)について主に考えました。
3日間で学んだことを生かして、これからの授業や実習に取り組んでいきたいです。


■ 宮田華織さんの『基礎看護学実習Ⅰ まとめレポート』



写真は三日目の振り返りのグループワークの様子。
指導教官の池田敏子先生が覗き込んでおられる。
宮田さんは左から二人目

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生きる力・生きようとする力               
宮田 華織

この3日間で、私が学んだこと・感じとったことは「生きる力・生きようとする力」だった。私の受け持ちのTさんは、すごく気が強く、とてもマイペースな性格で、いつ気が変わって怒り出すかわからない人だった。初日には、視界に入る私をあしらい、手を握ろうとする私の手を払いのけた。あと2か月で100歳になるおばあちゃんだとは思えない反射力と強い力だった。その一方でお気に入りの場所に向かうときは、気の趣くまま、“自分の流れ”のなかで車イスを操作していた。私は、受け持ちのTさんと言葉やスキンシップによるコミュニケーションはほとんどとれなかったが、この3日間のTさんの行動や後ろ姿から、Tさんの「生きる力・生きようとする力」を強く感じとることができた。手術後の発声練習としてカラオケをする人、車イスを使わずに歩行訓練をがんばる人、入院していて3か月ぶりのお風呂となるが「きれいになりたい」とおっしゃって入浴介助を頼む人、排泄時、羞恥心からズボンで隠そうとする人・・・。自分の受け持ちの方からだけでなく、まびに入所されている人、通所されている人すべての人から「生きる力・生きようとする力」を強く感じた。不自由になった手足を前のように少しでも自由に動かしたい、もっと健康にこれから先を生きたいと思う高齢者の気持ちがとても伝わってきた。
この3日間、“拒絶”されたときのコミュニケーションのとり方にすごく悩み苦しみ大変だったが、ないたり笑ったり発言したりと、人というのは“感情”や“意志”をもつ生き物なんだと改めて感じた。こういった“感情”や“意志”は「生きようとする力」がなければ存在しない。「生きる力・生きようとする力」があるからこそ、しゃべれなくても何かを必死で訴えようとしたり、障害をうまくカバーして日常生活を送っていこうとしていると思う。私たち10代・20代よりもはるかに体力やADLの低下が見られる方もいらっしゃるのに、私はそんな方たちから「生きる力・生きようとする力」を学んだ。“生きる”ことへの執着心というべきか、“生きる”ことの大切さを考え直させられた3日間だった。